ビールと健康について
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今回は、ビール造りの話から少し離れます。
醸造酒であるビールには、
原料や酵母に由来する水溶性ビタミン類が含まれています。
大手のビール会社と様々なクラフトビールに含まれる
ナイアシン・パントテン酸・ビオチンの量を測定、比較したところ
クラフトビールではナイアシンとパンテトン酸濃度が大手メーカーの
ビールよりも優位に高く、また他の酒類よりも高い値を示しています。
ビール成分を分析するとビタミン・ミネラルがバランスよく含まれ、
これらの栄養成分はコロイド状で吸収されやすく、
炭酸ガスやホップには栄養の吸収促進に働きます。
ビールに含まれているアルコール分は、血液の循環を活発にします。
赤ワイン摂取による虚血性心疾患リスク効果については有名ですが、
赤ワインだけでなく、ビールでも認められるという報告があります。
ビールにより血液中にいくつかの酵素が出て、
そのうちの一つは血栓の原因となるフィブリンの溶解活性を上昇させます。
また、毛細血管強化作用を持つ成分がビールには含まれています。
炭酸ガス、ホップの成分やビールに含まれるタンパク質成分が
胃酸の分泌効果に働き、さらに4~5%の低濃度アルコールも胃酸の分泌促進、
膵臓からのトリプシン分泌も促進させる他、
胆嚢の働きを助け、便秘の予防、ストレス解消、利尿作用、
さらには適量のビールが発がんプロセスを抑制する作用を示したり、
骨密度の減少抑制活性を示したりとビールの医学生理学的機能性は
多様と言われています。
ただし、あくまでも適量を飲んでいる場合の効果であり、
ビールの適量は1日当たり20g~40gのアルコール
(ビール大瓶633ml あたり25g程度)で、
長期にわたる過度の飲酒はアルコール性肝機能障害や脳の萎縮などを招きます。
ビールの麦芽由来、ホップ由来、酵母の由来、
発酵により生成された成分の機能性を知れば知るほど、
一日の終わりに適量のビールをおいしくいただいて、
翌日の元気につなげたいと思いませんか?
<参考文献>
・本間裕人, 数岡孝幸, 徳田宏晴,:クラフトビール類に含まれる水溶性ビタミン(ナイアシン・パントテン酸およびビオチン)について, 日本食品保蔵科学会誌, 46, 17, 2020
・高橋豊三:ビールの機能性-Ⅱ.医学生理学的機能(1), 日本醸造協会誌, 95, 183, 2000
・高橋豊三:ビールの機能性-Ⅱ.医学生理学的機能(2), 日本醸造協会誌, 95, 244, 2000
・ビールの健康機能性(ビールの生活習慣病予防効果), 日本醸造協会誌, 98, 228, 2003
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