ビールの香り(香味)について
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今回は、ビールの美味しさにとって重要な「香り」について、
解説していきます。
ビールの香味は、
原料の成分をビール酵母(Saccharomyces cerevisiae)が
代謝してアルコールが生成される過程で形成されます。
美味しさの評価である官能評価は分析型と嗜好型に分類され、
ビールの官能評価では1970年代以降、
香味特徴を記述する方法が活用されるようになったと言われています。
官能評価に使われる用語の共通化のために
American Society pf Brewing Chemists(ASBC)、
European Brewery Convention(EBC)が香味用語体系を中心にした
ビール官能評価の国際基準法が作られました。
どのような香味特性を評価するか?
その評価の詳細、内容、尺度は会社ごとに独自のものがあり、
会社ごとに香味特性、オフフレーバなど注目する項目を官能評価に
反映しています。
参考:フレーバーホイール図
ビールの官能評価の項目には、
香り・味(苦味、甘味、その他)・炭酸ガスの刺激・コク・舌触り・喉ごしなど
様々なものがあります。
前出のASBCやEBCに採用されたビール分析法は国際標準法とされ、
記載されている官能評価法は世界中で教科書になっています。
日本では、
ビール酒造組合国際技術委員会(BCOJ: Brewery Convention of Japan)から
ASBC法、EBC法を翻訳した初版から国内の官能評価に関する文献も参考され、
より実用的な内容になった「BCOJ官能評価法(第2版 2018)」が出版されています。
最近では、多くの販売店で缶や瓶容器などのクラフトビールを目にするようになりました。
お店で醸造したものをすぐ飲める飲食店も増えています。
醸造所それぞれの特徴をじっくり味わって共通化された表現で比較するのも、
クラフトビールの楽しみ方、醍醐味なのかもしれません。
参考文献
1)M. C. Meilgaard, C. E. Dalglish and J. F. Clapperton:Beer Flavor Terminology, J. Amer. Soc. Brew. Chem., 31, 47, 1979
2)古庄重樹: ビール官能評価法について,日本醸造協会誌, 97, 178, 2002
3) 野庭重都: ビールと発酵の化学,化学と教育, 67, 584, 2019
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