【ビールができるまで】ホップについて

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ビールは、麦芽(モルト)・ホップ・酵母・水
主原料とする飲料です。

 

今回は、ビールの主要原料な「ホップ」について、
解説していきます。

 

ビールの主要な原料であり、
ビールに苦味と香りなどビールを特徴づける重要な役割を持ちます。

ホップ(Humulus lupulus L.)はクワ科と記載されたり、
アサ科と記載されたりすることがありますが、
これは分類形質を何にするかによるもので、
最近はアサ科とするのが主流になりつつあるようです。

 

ホップは、様々な効用を持つハーブの一種で、
ビール醸造で使用する目的としては、
・切れの良い苦味と特徴のある香気の付与
・抗菌作用(グラム陽性菌全般に抗菌性を示し、変敗菌である乳酸菌の生育を抑える)
・苦味成分とタンパク質複合体による泡持ちの良さ、清澄度を上げる
などが挙げられます。

 

ビールにホップを使うようになった時期は定かではなく、
中世ヨーロッパではホップの代わりに「グルート」と呼ばれる
ヤチヤナギ、ペパーミント、月桂樹、サルビアなど様々なハーブを
配合したものを使っていた。

しかし、ホップの方が抗菌性や香味において優れており、
1516年にドイツで制定された「ビール純粋令」で
「ビールには必ずホップを使用すること」と
ビールの原料にホップが定められ、今日に至るとされています。

 

ホップ毬花の樹脂成分であるα酸がビール製造工程の麦汁煮沸で異性化され、
イソα酸に変化し、このイソα酸がビール特有の爽快な苦味の本体となり、
それ以外の複数の苦味質の生成経路も明らかになっている。

ホップは新鮮でなくても苦味付与に関しては低下しないが、
その組成は複雑になるといわれています。

 

ホップのビールの香りへの寄与は煮沸中に減少してしまいますが、
ビール醸造におけるホップの添加目的の苦味と香りの付与について、
そのバランス調整のために、ホップを添加するタイミングや量を変化させることが行われ、
付与するホップの香気を強くするための方法としての
・レイトホッピング
・ドライホッピング
・キリンビール社が開発したディップホップ製法
などが使われています。

 

ホップは古い時代から薬草として栽培された植物ですが、
ヨーロッパ・北米・中国・日本の野生ホップは遺伝的に
分化していったものであることが解析で明らかにされています。

農作物としてのホップは、
その作柄は気候・天候に影響される作物であるため、
常にフレッシュで均一なものを得ることは難しとされています。

それでも、思い描くビールを造るためのホップのために、
より質のよいホップを得るところにも大きな苦労があるように思っています。

 

 

参考文献など

・ビール酒造組合 国際技術委員会編,  ビールの基本技術, (公)日本醸造協会
・北島 親;ビールとホップ,徳間書店,1968
・小若雅弘, 島津武, 橋本直樹:醸造成分・ビール 第6章 ホップに由来する成分(1), 日本醸造協会誌, 71, 1976
・A Murakami, P Darby, B javornik et.al.:  Molecular phylogeny of wild Hops, Humulus lupulus L, Heredity, 97, 66, 2006 

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