iPS細胞について

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今年度のノーベル医学・生理学賞にiPS細胞を作った日本人の研究者が受賞することはすでにご存知だと思います。

また、これを病気の治療に使って成功したというニュースも有名ですね。
この真偽はともかく、これからの医療に多大なる可能性と期待が持たれていることは、バイオテクノロジーの業界に明るい話題となることは間違いないでしょう。

そもそも、iPS細胞とは何なんでしょうか?
どのように作られ、何が画期的なのでしょうか?

iPS細胞は、人間の皮膚などの体細胞に4つの遺伝子を導入して培養することで、様々な組織や臓器の細胞に分化する能力と、限りなく無限に増殖する能力をもつ多能性幹細胞に変身します。
この細胞を人工多能性幹細胞 (induced pluripotent stem cell:iPS細胞)と呼んでいるのです。

例えば、現代医学では治療困難な疾患患者の体細胞からiPS細胞を作り、それを神経、心筋、肝臓、膵臓などの患部の細胞に分化誘導させます。
その患部の細胞の状態や機能がどのように変化するかを研究することで、今までわからなかった病気の原因が解明できるかも知れません。
また、患者の細胞を利用すれば、人体ではできないような薬剤の有効性や副作用を評価する検査や毒性のテストが可能となり、新薬の開発もできます。
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今回、話題となっている治療例も、この方法を利用して心筋細胞を再生したと言っています。
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iPS細胞が注目される以前、ES細胞(embryonic stem cell:胚性幹細胞)が注目されていました。
1981年マウスの胚盤胞から樹立した当時を代表する多能性幹細胞の一つで、iPS細胞と同じように、あらゆる組織の細胞に分化することができる培養細胞です。
その後、1998年ヒトES細胞の樹立に成功し、人間のあらゆる組織や臓器の細胞を作り出すことにより、難治性疾患に対する細胞移植治療などの再生医療が可能になるという期待がふくらみました。
しかし、ES細胞は、発生初期の胚を破壊して作るため、子どもになるはずの受精卵を壊すことに倫理的、宗教的な問題が生じるようになりました。
ES細胞は受精後6、7日目の胚盤胞から細胞を取り出し、それを培養することによって作製されます。ヒト、特に患者由来のES細胞を作ることは、かなり高度な技術を必要とし、他人のES細胞から作った組織や臓器の細胞を移植した場合、拒絶反応が起こるという問題点もあります。

一方のiPS細胞は採取に差し支えない皮膚などの体細胞を使って作ることができるので、受精卵を破壊する必要がなく、倫理的な問題はほとんどありません。
さらに、患者自身の細胞から作製するため、組織や臓器の細胞を移植した場合、拒絶反応がほとんどないと考えられています。
どちらの細胞も治療や病気の解明にはとても有用性が高いことに変わりはありません。実はわれわれの学校でもES細胞を分化誘導する実習を行っています(もちろんマウスを使ってですが)。

さらに、インターンシップ生がiPS細胞の研究機関(国立成育医療研究センター)で卒業研究を行っています。
生命科学に関する幅広い知識、研究を成功させるためのより高度な技術、東京バイオの学生は、実験研究を成功させるために、様々な技術習得にチャレンジしています。

 

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