未来素材化学開発コース 3年制
未来素材化学開発コースは、化学×バイオの開発技術を学んで、持続可能な社会に貢献する技術者を目指す3年制のコースです。自由選択科目の活用で、国家資格「化学分析技能士2級」が取得可能です。・・・
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リカバンクさんで面白い実験をやっていたのでご紹介したいと思います。
過冷却ってなに?
この実験をやろうと思ったきっかけは、YouTubeで偶然こちらの動画を見つけたからです。
英語なので少し分かりづらいですが、この実験は「過冷却」と呼ばれる現象を利用しています。
過冷却とは、例えば液体が本来固体に変化する温度(凝固点)より低くなっても液体の状態が保たれる現象をいいます。例えば水の場合、通常なら0℃で水から氷になるはずですが、それが0℃以下になっても凍らないのです。コーラの場合、水に砂糖や香料などが含まれているので、実際には0℃よりやや低い温度にならないと凍りません(これを「凝固点降下」といいます)。しかしコーラでも過冷却という現象が起こるのです。
では過冷却はどうしたら起こるのか。これはとってもシンプルです。方法は「ゆっくりそっと冷やすこと」です。「ゆっくり」は温度を急激に冷やすのではなくほんの少しずつ温度を下げていくこと。「そっと」はふったりたたいたりといった振動や衝撃を与えないこと。実はこれが意外と難しいのですが、これさえ守れば過冷却を用いてフローズンコーラを作ることができます!
家の冷蔵庫でフローズンコーラを作ってみよう!
それでは実際どのようにすればよいか説明しましょう。
【用意するもの】
- 冷凍庫(家にあるものでもちろんOK!)
- コーラ(ペットボトル)
[注意]コーラなど缶に入った炭酸飲料を冷凍庫で凍らせると缶が爆発する恐れがあるので絶対にやめましょう。
コーラの種類はペットボトルの商品なら何でも構いません。ただし、ペットボトルのまた大きすぎるものも以下の操作の都合上避けた方がよいでしょう。
では、ここから写真付きで説明しましょう。
今回の実験では先ほどの写真のように4本のコーラのペットボトル(Coca-Cola 300ml)を用意しました。まずは炭酸を抜く(遊離させる)ためによく振りましょう。これを行わないと、爆発まではしないものの、開けたときコーラが吹き出す可能性があるので気をつけましょう。
4本ともふり終わったら冷凍庫に保存します。冷凍庫の温度はだいたい−15〜-20℃です。この時のポイントは極力、冷却中のコーラを刺激しないようにすることです。なぜなら過冷却状態では刺激により凍結が開始されてしまうためです。また、開けるときもこの際の注意なのですが、必ずガス抜きをしながら開栓してください。ゆっくり軽くキャップを開けて少しずつ炭酸ガスを逃がします。これをガス抜きと言いますが、ガス抜きをせずに勢いよく栓を開けてしまうと、炭酸ガスが遊離して高圧になり急に吹き出す可能性がありますので注意しましょう。
冷却時間を変化させて過冷却を比べてみた。
今回の実験では、4本のコーラを45分、75分、135分、そして先ほどの動画で紹介されていた3時間15分である195分にそれぞれ取り出してみて状況を確認することにします。
①45分冷却した場合。
おいしいコーラでした。
しかしまだ、過冷却には至ってないのですね。氷が浮かんでいますがこれはコーラに刺激を与えるために入れました。先ほども書いたように過冷却液の凍結は刺激により開始されます。しかし、凍結は始まりませんでした。残念です。
②75分冷却した場合。
こちらも、普通のよく冷えたコーラでした。氷を落としてみたところで凍る気配すら見せずおいしいコーラであり続けました。残念です。
気を取り直して3本目行ってみましょう!!
③ 135分冷却した場合。
お分かりいただけるしょうか?ペットボトルをご覧ください。そう!!凍っています!!
上はコップに移したものです。氷のコーラが浮いているのがわかると思います。
大成功!・・・、といきたいところなのですが実は開栓する前から凍っていました。母が冷凍庫にアイスを入れた時に刺激で凍ってしまったのか、あるいは過冷却に至らず凍ってしまったのかはわかりませんが、もう一本は凍ってなかったことも考えると単に過冷却に至らなかったからなのかもしれません。
実験をするときには、一緒に住んでいる人に実験についてよく説明しておいた方が良さそうです。
④195分冷却した場合。
取り出したときは何も起こっていない普通のコーラでした。「結局、失敗か」とがっかりしつつコップに入れても何の変りはなくコーラのままでした。しかし、コップを指で小突いた瞬間、内部から急に凍り始めたのです。
これが、過冷却液が外部からの刺激により結晶を形成する瞬間です。ほんとに美しかったです。動画を撮影しなかったことを悔やみました。
そして、凍り切った後は・・・
このように、スプーンですくっておいしくいただきました。シャリシャリして炭酸が閉じ込められていておいしかったですよ。是非やってみてください!!
これをお家の冷蔵庫でする場合は、冷蔵庫の機能にもよりますが、チルド室を使ってー10℃~15℃に設定して、水であれば-10℃程度で、フルーツジュースやお茶は-15℃くらいですると成功しやすいですよ。
お問い合わせは、化学分析コース主任 杉田まで(高校生に限る)
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