性フェロモン

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まだまだ寒い日が続きますね。

先日は2年生環境科学コース(現:化学分析コース) 環境調査実習の課外授業で
多摩動物公園の昆虫生態園に行って参りました!
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ここは知る人ぞ知る
世界最大の昆虫生態園です。
外は寒い冬ですが、生態園内の気温は夏

室内は熱帯の植物が元気に茂っています。
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そこに行ったら面白い現象が!
まずは写真をご覧下さい。
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生態園内を歩いていたら
オオゴマダラIdea leuconoeが集まってきました。

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歩くたびに数が増えてきます。

なんか
すごいことになっています。
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決まった昆虫が
特定の場所に集中して集まっている。
そして集まってくるのはオス。
ということは
オスを誘引する物質(性フェロモン)を含んでいるヘアワックスをつけているのだな
と思い、尋ねたところ
ウェーボ デザインキューブ
という製品を使っていたようです。

この製品の成分を調べてみて、わかりました。
オオゴマダラのオスたちは
このヘアワックスに含まれているパラベンという化学物質に引き寄せられていたのです。

昆虫はメスがオスを誘引する物質を出しています。
皆様も日常で「フェロモン」という単語を使うことがあります。
この場合は男性は女性に、女性は男性に性的アピールする手段とか度合いとか
そういった意味合いで使用されていると思います。
このフェロモンというのは昆虫界では
性フェロモン警戒フェロモンなど
様々な用途によって使い分けられています。

彼らは人間のように言葉をもって会話することはありません。
言葉以外のコミュニケーション手段としてフェロモンを利用するのです。
例えば、捕食者の鳥に狙われたとします。
鳥に襲われた際、昆虫は警戒フェロモンを体から発します。
「危険だ!!逃げろ!」
という意味をもっているフェロモンです。
これをキャッチした仲間たちはその場から離れていきます。

このように、言葉を持たない昆虫にとって
フェロモンは生きていく上で非常に重要な物質なのです。

特に性フェロモンがきちんと放出されないと子孫を残せない
という大変な事態が発生するんです。
誘引する物質は昆虫の種類によって異なります。
今回のオオゴマダラのオスは
彼らにとって魅力的なパラベンの香りに集まってきたのです。
人間には感知できないほどの超微量でしたが
オオゴマダラにとっては十分な威力を発揮したのです。

パラベンは自然界に存在しない物質です。
ヘアワックスには防腐剤として使われています。
なぜそれがオオゴマダラにとっては性フェロモンと同じ魅力をもっているのか?
この点についてはきちんと解明されていないので
今後の研究が待たれます。

以前私が書いた渡りをするチョウの
アサギマダラも飛んでいましたが
オオゴマダラだらけで目立たなかったのが、ちょっと残念でした。

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