3年生 遺伝子工学実習紹介

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DNAコースのメインの実習として遺伝子工学があります。
遺伝子工学とは、字の如く、遺伝子(主としてDNA)を設計図から組み立て自然界には存在しない遺伝子を人工的に創作することです。
「何のために?」という疑問を持っているひとがいると思いますが、応用範囲は生命科学全般とかなり広いので、例を挙げてみます。

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例えば、細胞の中にはとてつもなく多くの遺伝子があります。遺伝子という設計図を基に生体成分が作られます。糖尿病(現在は生活習慣病の糖代謝異常と言っています)の方は、膵臓から分泌される“インシュリン”というタンパク質の生成が衰えていく病気です。これを遺伝子工学技術で治療に応用することができます。

この実習は、将来的に応用する目的で「目には見えない遺伝子を工作する」技術を習得します。

手順は、以下の通りです。
細胞から、タンパク質の設計図“RNA”を取り出します。
RNAはDNAから命令されて「タンパク質を合成」するために現れます。
RNAは不安定で壊れやすく、組換えるのには都合がわるいので、逆転写させて、DNAに戻します。
細胞からは沢山のRNAがありますので、目的のタンパク質を作ってくれるRNA→DNAだけをピックアップします。
このDNAを“ベクター”と呼ばれる組換え用のDNAに組みこみます。遺伝子だけでは勝手に増えませんので、“宿主”と呼ばれる細胞(ここでは大腸菌)に導入します。
細胞を培養して、遺伝子のコピーを大量に増やします。ここから様々なものに応用するのです。

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何しろ、目に見えませんから、1つの操作ごとに確認をしていきます。正確性はもちろんですが、根気がいる作業です。
1度や2度だけでは簡単に習得することは難しいですが、生命工学には絶対的に必要な操作技術です。
今年の遺伝子工学実習は、“メダカ”の各臓器・器官からメッセンジャーRNAというタンパク質を合成させる遺伝子を取り出し、cDNAライブラリー(遺伝子の集合体)を作製します。

写真の操作は、メダカを液体窒素(-196℃)で完全凍結させ、器官別にサンプリングをしています。
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RNAは体液(特に汗や涙に含まれるRNA分解酵素)で壊れてしまいますので、完全防備をして操作をしています。
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