「免疫学実習」レポート

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本日は、4年制学科3年生の免疫学実習を紹介します。

この実習は、各週の単限で完結する実験でなく、最終回まで一貫して続いている実習です。
3年生の実習になると、このような連続実験が多くなり、毎回結果を残さないと次の操作ができなくなるという結構大変な作業です。

特にこの科目は、1年生での「細胞培養実習」「生化学実習」、2年生での「実験動物取扱い実験」「動物細胞工学実習」の手技を全て融合したもので、1~2年生の時に理解してこないと大変になります。

実習の流れは、大まかには、まず動物(マウス)に抗原物質となるタンパク質を注射して、体内で免疫反応をさせます。
簡単に言うと、もともと自分には持っていない異物を体内に投与(注射)すると、体の中で異物を排除しようとする免疫応答がおきます。このときは、抗原タンパク質に対する「抗体」を作り、抗体と抗原タンパク質が結合して異物を取り除きます。

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一度作られた抗体は、次に同じ異物が入ってきた時のために、しばらくは抗体を作り続けます。体の中では白血球(リンパ球)が抗体を作り、脾臓と言う臓器に集結しています。

しかし、このリンパ球にも寿命があります(約2週間くらいかな?)
抗体を恒久的に作ってもらうには、半永久的に増殖し、かつ抗体を産生する細胞がいると、色々なものに応用することが出来ます。
その一つに抗体検査薬であるインフルエンザの検査薬があります。これは、インフルエンザウィルスだけが持っている「表面タンパク質」だけに反応する特殊な抗体(モノクローナル抗体)を使って感染した患者の鼻の粘膜に潜んでいるウィルスを確認・検出する方法です。

今や、抗体は、病気の検査や治療に数多く役立っています。ちなみに、妊娠診断薬も同じです。
実験操作法の続きを説明しますと、脾臓から取ってきたリンパ球(B細胞)と半永久的に増殖する細胞(実習では、マウスの骨髄腫を使います)とをドッキングさせて、ハイブリドーマという、自然界には存在しない融合細胞を人工的に作り出します。

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この結果、“抗体を作り、無限に増殖する”都合の良い細胞が出来上がります。
しかし、脾臓には免疫した抗原にだけ反応する抗体だけでなく、様々な抗体をつくるリンパ球が混在しています。この中から「目的のもの」だけをチョイスして取り出さなくてはなりません。

3年生たちは、今まで習得してきた技術を駆使して、抗原だけに特異的に反応する抗体産生細胞を探し出します。3

本日の実験、これは、ウェスタンブロッティング(酵素抗体法)という操作です。
この方法で、今回作った抗体と反応する抗原タンパク質検出して、「特異性」を調べます。
意外と難しい操作で、判断できるようになるまでの熟練も必要となります。
良い抗体ができているといいですね。

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今日が、夏休み前の最後の実習です。
皆さんこれが終わると、楽しいお休みに入ります。良い細胞が出来ていることを願っていますよ。あと少しなので、気を抜かず、がんばてください。

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