食べ物はどうやってできるのか?そのプロセスを知る喜び。
昔から日本の伝統的な食を生み出す技術や歴史に強い興味を持っていました。そこで選んだのが醸造発酵コースでした。
あえて大学に進まなかったのは、実習の数が段違いだったからです。味噌やワインなどを授業で作るにつれ食文化を支えたい気持ちはさらに高まっていきましたね。
醸造発酵の面白さは、日常生活の中で当たり前に口にしているものが、どうやってできるのかを知り、それを作る知識と技術を得ることにあります。
実は醤油の半分は小麦でできているってことは、あまり知られていません。そういった食の原理に触れることこそが、この学びの原点だと思います。
- 入学前の頃のことを教えてください。
- 高校の時から日本の歴史や伝統に興味があり、またこの頃、漫画「もやしもん」を読み、発酵の世界に魅了され、日本で伝統的な日本酒や醤油、味噌の醸造家を目指し、東京バイオテクノロジー専門学校へ進学しました。
進路について悩んだ事は専門学校に入学する事で人生の選択肢が減ってしまう事です。私は醸造以外にも興味がある事があったので、そっちの道に行きたくなったらどうしようか専門学校でいいのか悩みました。
東京バイオへの進学は、コース体験の時、実験設備を見学して決めました。
- 在学中のことについて教えてください。
- 東京バイオの良いところは実習が多い事や、授業が良いのはもちろんの事、様々な人達と関わる事が出来る事です。印象的な出来事は学生スタッフの仕事について仲間に凄く怒られた事です。リーダーなのに次の日、シフトに入っていないからと手を抜いて準備してしまい、給料をもらい働く立場なのに真剣にやっていなかったため、怒られてしました。怒られて当然ですが。この事をきっかけに働く事への向き合い方を学び、働くことや責任についての考え方は現在でも私の中で根幹となっています。
クラスなどでも社会人を経験した人達や他の分野の人達と会話、実習、教える教わる事で社会のコミュニケーションの取り方、社会でどう仕事するか、どう立ち回るか、気持ちの持ち方、考え方を学びました。
- 就職活動~就職を決めるまでのストーリーを教えてください。
- 分野を考えたのは入学よりの前からでした。東京バイオの2年次、醸造実習を行う内に醤油か日本酒を造りたいと思うようになりました。
発酵食品業界と日本酒業界の就職活動時期が違ったので、醤油から日本酒の流れで就職活動をしようと思っていました。結局のところ、醤油の企業しか就職試験を受けていないのですが、気になったのは場所でした。私は千葉県出身ということもあり、元より千葉県の醤油を造りたいと考えていました。なので、千葉県内の醤油会社で風土、自然環境、歴史を中心に比べました。
迷ったことは現在、働いている窪田味噌醤油株式会社への面接付きのインターンシップにいくかどうかです。学校求人であるため、内定した場合、断りにくいので悩みました。合格したら悩もうと思い、行くことに決め、結果的に運河という歴史や風土、働いている人達、雰囲気が良かったので就職を決めました。
- 現在の仕事内容について
- 私は、醤油部門の圧搾という部署に所属しています。この部署は醤油仕込みから送られてくる諸味から濾布という布で醤油を搾る工程を行います。
私の仕事は、出荷量や忙しさによって仕事内容が変わりますが、醤油を搾る、生揚げ(搾った直後の)醤油の管理、搾った後の醤油粕の出荷(フォークリフト)を行っています。醤油を搾る仕事の時は1日の3分の1は作業場の清掃、機械の洗浄を行います。
仕事を覚え、こなしていくうちにもっと難しい仕事を任せてもらえるようになる事が嬉しくもあり、楽しいです。
つらい事は自分のミスで先輩達に迷惑をかけてしまう事です。醸造はチームで行うので、他の部署や同じ部署の人達に迷惑がかかってしまいます。