特集:大学とは違う理系選択

勉強は嫌い。そんな僕が、研究者になった理由。

現在、大学で研究をしながら大学院生の指導も行っている東京バイオ卒業生のHさんに、
在学中の様子や、研究者を目指すまでの 経緯について語っていただきました。

勉強は苦手…。やりたいこともない。
そんな僕でも夢中になれたのが「実験」でした。

  • インタビューアーは元担任の松本先生

    H君は、とにかく実験が好きな学生でしたね。

  • 僕は勉強が苦手なんですよ(笑)。高校生の頃はまともに大学受験対策もしていなかったほど不真面目でした。受験も落ちて、受験勉強が続くのも嫌だし、働きたくもなくて…その頃、偶然見つけたのが東京バイオのオープンキャンパスでした。そこで体験した「DNAを単離させる実験」にとても感動したし、カリキュラムの半分は実験ということも聞いて、この学校ならあまり勉強せずに楽しく過ごせるんじゃないかと思って入学を決めたんです。入学後、しばらくは高校の延長みたいな感覚で過ごしていました。

  • でも、H君のイメージは何かと免疫、免疫と騒いでる「免疫マニア」だったのを覚えています。

  • そのきっかけを与えてくれたのは松本先生です。「教科書がつまらない!」と言っていた僕に貸してくださった「分子生物学」の本がとても面白くて。そこからはいわゆる生物学系統の本を色々読みました。そこで今の研究対象の「免疫学」という学問を知ることが出来ました。

インターンシップで痛感…
研究は「地味」で「過酷」
でも、やっぱり「実験が好き」だから、
研究者になろうと決心しました。

  • 勉強嫌いのH君が、本気で「研究者になろう」と思ったのはいつ頃でしたか?

  • 長期インターンシップに参加した後です。それまでは「楽しく実験して、給料をもらえる。研究者って最高だ!」と軽く考えていました。でもインターンシップでは、研究者という仕事が、いかに地味で過酷なのかを思い知らされました。僕は東京医科歯科大学の研究室で1年間のインターンシップに参加したのですが、そこで研究を行っている研究員や大学院生の方々は、毎日地道な作業を繰り返しているし、それでもなかなか結果を出すことができない人もいらっしゃいました。研究者に抱いていたイメージは180度変わりましたが、それでも僕は研究者になってみたいという気持ちは変わらなかったので、この道を進んでいこうと決意しました。

  • 東京バイオの長期インターンシップは最長1年6カ月だし、提携している研究所や機関には「学生ではなく、一人の研究員として扱ってください」とお願いしています。それが「研究者のリアル」を感じられた理由のひとつかもしれませんね。

  • 就職した後で「思っていたのと違う!」ってなると大変ですからね。そういう意味でも、インターンシップに参加できて本当に良かったと思っています。

何度も試行錯誤しながらついにたどり着いた
「大発見」!

これが研究の醍醐味です。

  • 東京バイオを卒業した後は、インターンシップに行っていた研究室に技術補佐員として勤務しましたよね。

  • はい。技術補佐員は、研究者が立てたテーマに基づいて実験のデータを出すことが仕事です。好きな実験を毎日できることに最初は満足していたんですが、次第に自分自身が掲げたテーマで研究を行いたいと思うようになっていきました。それで、技術補佐員として4年ほど働いた後に、大学院への進学を決意したんです。僕が所属したのは、免疫学の分野でも、とりわけ医学分野において重要な「免疫記憶」に関する研究を行う教室でした。指導教官から与えられたのは「CD69分子の会合タンパク質の探索」というテーマ。CD69分子というのは活性化したリンパ球が発現するタンパク質で、何らかの機能を有すると考えられていましたが、機能する上で重要な相手方がわからなかったのです。そこで、技術補佐員として培った生化学的な実験手法を用いて、同定を試みました。何度も試行錯誤をした上で、とある日に相手方を示した結果を解析機器の前で目のあたりにしました。すぐさま一緒に実験をしていた先輩と指導教員を呼びに行きましたが、声をかけたときは「またまたー」といって信じてくれませんでした。でも実際に解析機器の前に連れていくと「これは…!」となり、3人でハイタッチして喜びました。その研究結果は学術的に権威のある科学ジャーナルに掲載され、テレビや新聞などでも報じられました。「このような感動をまた味わいたい」という想いが、研究者としてのモチベーションに繋がっていると思います。当時の発見を超える、常識をひっくり返すような大発見をすることが、今の僕の夢です。

実験を楽しみながら、
自分の進路を探していける。

それが東京バイオの良いところ。

  • 東京バイオには、大学院進学を希望する学生が毎年入学してきます。そんな方々に、先輩から伝えたいことは?

  • 大学院への進学、研究者への道は自分にとってはとても合っていました。この道は苦労することも多くありますが、苦労の末に得られる成功体験や日々知的好奇心が刺激されるなど、やりがいも多いです。ただ、「大学院に進学できるなら、行ってみようかな」となんとなく決めるのではなくて、自分のライフプランと照らし合わせて、進学する必要があるかどうかを充分検討してほしいです。大学院は、研究者になるために必要な知識やスキルを磨く「研究員養成所」で、学歴のために進むものではありません。そこをはき違えてしまうと、とても苦しむことになると思います。

  • そうですね。私たち教職員も、学生のみなさんの希望に寄り添いながら、現実もしっかり伝えるように心がけています。

  • 僕自身、先生方との関わりの中で進路を決めていくことができました。僕は在学中に「免疫学」と出逢えましたが、きっかけさえあれば、他の分野を選んでいたかもしれません。東京バイオでは実験を思いきり楽しみながら、研究の現場で求められる手技を十分に身につけられ、また様々な学問領域の面白い側面を知ることが出来ると思います。僕みたいに勉強が苦手だという人でもきっと大丈夫です!まずは実験の楽しさを、オープンキャンパスで体験してみてください。

  • インターンシップ
  • 大学院進学
  • バイオテクノロジー科4年制学科
  • 98%が実験を仕事に

「楽しい」のその先へ

東京バイオでは実験を「楽しい」「好き」だけでは終わらせません。本校の卒業生のそのほとんどが実際に実験を仕事にしています。好きなことを一生の仕事にしたい方は、ぜひ一度、本校にお越しください。