チアシードを用いた機能性パンの開発

コース 食品開発コース

要旨

年々健康への関心は高まりを見せている。その中で普段不足しがちになっている栄養素である「食物繊維」に着目した。本研究ではスーパーフードの中から前述栄養素を多く含み安価で入手が容易な「ブラックチアシード」を用いることとした。スーパーフードとは、サプリや薬などの人工的に合成されたものではなく、人間の体内で作り出せない「必須栄養素」を程よく含む自然の食べ物である。また手軽に摂取できるよう、食品の中からパンを選択し、開発することを目的とした。

具体的には、ブラックチアシードの添加量の検討と共に、その他材料に関しても最適な配合率の決定をした。更に本パンを利用した調理パンの考案も行った。開発したパン生地の成分の分析は、食物繊維はヘンネベルグ・ストーマン法、脂質の定量はクロロホルムメタノール抽出法とした。

パンの配合とチアシードの量を検討した結果、チアシードを含まないパンと比較して、パン一個100gで約3.5gの食物繊維が得られた。生地以外にも調理パンとしての検討を行い、味・見た目・食べやすさなどの項目について研究し調理パンを完成させた。

目次

1 序論... 1

1-1 はじめに... 1

1-2 食物繊維の摂取量の推移... 2

1-3 食物繊維を多く含んでいる食品... 5

1-4 チアシードとは... 9

1-5 まとめ... 12

2 本論... 13

2‐1 検討を行った項目... 13

2-1-1 材料の配合率の検討及び水分量の違いによる食感の違いの確認... 14

2-2 実験方法... 20

2-2-1 脂質の定量(クロロホルム・メタノール法)... 20

2-2-2 食物繊維の定量(ヘンネベルグ・ストーマン改良法)... 24

3 試作品... 28

3 総括... 34

4 参考文献... 35

1 序論

1-1 はじめに

現在日本において健康志向を考えている人が増加傾向にある。農林水産事業が行った平成27年度下半期消費者動向調査で「健康志向」について考えていると答えた人が7%という結果となっており、約4割の人が健康について考えていることがわかる。このことから食生活に関心を持つ人が増加しているのではないかと推測される。現在、日本人が不足しがちな栄養素は、主に亜鉛、食物繊維、鉄分、カルシウムなどと言われている。亜鉛は、1日の推奨摂取量が男性10mg、女性8mgであり、不足すると何を食べてもおいしくなかったり、味を感じなくなったりと味覚が鈍くなってきたりする。食物繊維は、1日の必要摂取量が男性20g、女性18gである。食物繊維は血中コレステロール、血糖値の抑制効果があるので、糖尿病の予防や高血圧、高脂血症、動脈硬化の予防、便秘解消効果がある。鉄分は、1日の必要摂取量が、男性7.0~7.5mg、月経あり女性6.0~6.5mg、月経なし女性10.5mgである。脳の働きに影響がでるので集中力の欠如、めまい等の影響がでる。カルシウムは、1日の推奨摂取量が、18~29歳の男性:800mg、30歳~49歳の男性:650mg、50~69歳の男性:700mg、成人女性:650mgである。カルシウムは不足することで骨が弱くなってしまったり、イライラしやすくなる。カルシウムは体脂肪燃焼を促進してくれる栄養素。このほかにも野菜の摂取が少ない人は、ビタミンA、βカロチン、カリウム、ビタミンE等の栄養素が摂取不足になりやすいと言われてる。

1-1-1 食物繊維の摂取量の推移

日本人が不足しがちな栄養素の中から年々、摂取量が減少傾向にある、食物繊維に着目した。図1より20歳から70歳の男女の食物繊維の平均摂取量は1947年~1950年のところで急激に減少しているのがわかる。これは、戦争が終結し西洋文化が積極的に取り入れられるようになり、食習慣が変化したことが原因であると考えられる。現在1日の食物繊維の平均摂取量は12~14g程度と言われている。厚生労働省が定める食物繊維摂取量の基準値が成人男性では20g以上、成人女性では18g以上となっており平均摂取量は基準値を下回っている。図2に年代別の食物繊維の摂取量を載せた。これを見ると特に若者を中心に食物繊維の摂取量が低いことが分かる。

水溶性食物繊維は、炭水化物の消化・吸収を緩やかにする、血糖値の急上昇を防ぐ、整腸作用がある。不溶性食物繊維は、腸内環境の改善とデトックス効果、腸を刺激して蠕動運動を活発にし、便通を促進する働きがある。食物繊維は、水溶性 :不溶性  が1 : 2のバランスになることが理想的と言われてる。不溶性食物繊維は、腸内環境の改善とデトックス効果、腸を刺激して蠕動運動を活発にし、便通を促進する働きがあります。食物繊維は、水溶性 :不溶性  が1:2のバランスになることが理想的といわれている。

1-3食物繊維を多く含んでいる食品

 図3に食物繊維を多く含んだ食品を示した。食物繊維は、不溶性食物繊維と水溶性食物繊維に大別される。不溶性食物繊維はキャベツ・レタス・ほうれん草・大豆などに多く含まれており、水に溶けにくい繊維質で、水分を保持し、便量を増やして排便を促す作用のほか、発がん性物質などの腸内の有害物質を体外へと排出させる働きを持つとも言われている。水溶性食物繊維はワカメ・ひじき・ラッキョウ・大麦などに多く含まれており、ヌルヌルとした粘性と、保水性が高いのが特徴である。糖分の吸収速度をゆるやかにするので、食後の血糖値の急激な上昇を抑え、さらに、脂肪の吸収を抑えたり血中コレステロール値を減少させる働きもある。

<不溶性食物繊維の種類と働き>

■セルロース

穀類の外皮に多く含まれ、食事から摂取する食物繊維の大半を占めている。 腸内で有害物質を吸着して排出し、便の排泄を促す。

<多く含まれる食材>りんご・大豆(おからなど含む)・ごぼう・穀類

■ヘミセルロース

セルロースに準じた働きがあり、腸内の善玉菌を増殖させ、便秘の予防や有害物質の排泄などに効果がる。

<多く含まれる食材>ごぼう・小麦ふすま・玄米・大豆

■ペクチン

不溶性と水溶性がある。熟成するにつれて、水溶性に変わる。不溶性の効能としては、腸内の有害物質を吸着し排泄させる作用があり、便秘や大腸がんの予防効果があると言われている。

<多く含まれる食材>未熟な果物・野菜

■リグニン

コレステロールの上昇を抑制する作用があり、腸内の善玉菌を増やす。

<多く含まれる食材>ココア・豆類・いちご・なし

■キチン・キトサン

血圧やコレステロールの上昇を抑制する作用がある。また、免疫力を向上させて自然治癒力を高める効果が期待できる。

<多く含まれる食材>エビ・カニの殻

<水溶性食物繊維の種類と働き>

■ペクチン

血糖値の急な上昇を防ぎ、コレステロールの上昇を抑制する作用がある。

<多く含まれる食材>熟した果物・かぼちゃ・キャベツ・大根

■グルコマンナン

食べたものを包み込んで、消化・吸収させにくくする作用がある。また、水を吸収する作用があり胃の中で膨らんで満腹感が得られる。

<多く含まれる食材>こんにゃく

■アルギン酸

海藻のぬめり成分で、コレステロールや血糖値の上昇抑制作用・便秘解消・動脈硬化の予防などの作用がある。

<多く含まれる食材>昆布・わかめ・もずく・めかぶなどの海藻類

■フコイダン

海藻のぬめり成分で、肝機能向上・抗アレルギー・血圧抑制などの効果がある。

<多く含まれる食材>昆布・わかめ・もずく・めかぶなどの海藻類

1-4チアシードとは

 チアシードとは、シソ科サルビア属ミントの一種で、メキシコを中心とする南米で栽培される果実「チア」の種のことを指している。チアは「小さじ一杯の種と瓢箪(ひょうたん)1杯の水で24時間走り続けられる」という伝説もあるほど、栄養分の豊富な食べ物である。南米では、かなりポピュラーな食べ物で、一粒の大きさは直径約 2mmととても小さく、見た目は黒ごまの様な種子で、水に浸せばドンドン膨張する。無味で、若干のハーブ臭で食べやすく、新しいダイエットサポート食品として最近では注目されてる。

チアシードは、水分を含めばゼリー状の物質が、約10倍にも膨らむという性質を持っており、このゼリー状の成分は、グルコマンナンと呼ばれるもので人間が消化できない食物繊維である。ちなみに、グルコマンナンは、こんにゃくにも含まれている。このグルコマンナンが、水分を含むと膨張するため、 少しの食事量で満腹感を得ることができる。つまり、チアシードは、少量摂取するだけで満腹感を得ることができるだけでなく、食物繊維も豊富なため便秘の解消に効果がある。

また、チアシードには、食物繊維だけではなくてアミノ酸やカルシウム、マグネシウムなどの成分も含まれているため、不足しがちな栄養素も摂取することができる。

チアシード(Chia Seed)の「チア(Chia)」は、メキシコで「力」を表す言葉、シード(Seed)は種という意味である。チアシードの一日の摂取量の目安は生の状態で10g~15gと言われている。

図4が乾燥状態のチアシードで、図5が水で戻した後のチアシードである。

<チアシードに含まれている栄養素>

  • オメガ3脂肪酸
  • オメガ6脂肪酸
  • オメガ9脂肪酸
  • 必須アミノ酸
  • 非必須アミノ酸
  • タンパク質
  • 食物繊維
  • ビタミン類
  • ミネラル
  • 抗酸化物質

チアシードに含まれている必須アミノ酸は、ロイシン、フェニルアラニン、バリン、リジン、イソロイシン、スレオニン、メチオニン、トリプトファンが含まれている。つまりヒスチジン以外の必須アミノ酸が含まれていることになる。ちなみにヒスチジンはカツオなどの食品に含まれているので、チアシードにあわせてカツオも摂取すると必須アミノ酸がすべて摂取出来る。非必須アミノ酸は、グルタミン酸、アルギニン、アスパラギン酸、セリン、グリシン、アラニン、プロリン、チロシンが含まれている。

食物繊維はチアシード全体の約40%を占めている。タンパク質は全体の約15%を占めている。←このたんぱく質15%の中に前述のアミノ酸が含まれていると言うことかな?だとしたら、前文頭にこの文を移動する必要があります。ビタミン類は、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB3、ビタミンB6、ビタミンB7、ビタミンB12、ビタミンCが含まれている。その他にもマグネシウム、リン、カルシウム、カリウム、鉄、亜鉛、銅、ナトリウムなどのミネラルを豊富に含んでいる。抗酸化物質であるセレ二ウム、ポリフェノールなども多く含んでいるので老化防止などにも効果が期待されている。チアシードを積極的に摂取することにより、これらの栄養素を摂り入れることが可能となり、美容や健康につながる。ただし摂取目安量を超えてしまうと逆に体の調子が悪くなってしまうので注意が必要になる。

2-2-1 まとめ

食物繊維は、腸の活動を活発にし、善玉菌増殖等腸内環境を整える。その他にも腹持ちを良くして食べすぎを防ぎ、コレステロールなどを吸着し、水分と共に体外に排出する動きがある。日本人の食物繊維の摂取量は年々減少傾向にあることから、食物繊維を積極的に摂取することができる食品の開発をすることにした。

食物繊維を豊富に含む食材として今注目を集めているチアシードを用いることにした。チアシードとはシソ科サルビア属の一年草で、成長すると1.75m程の高さまで育ち、幅3~5cm長さ4~8cm程度の葉をつける。茎の先には房状に紫もしくは白色をした花が咲く。

チアシード自体に味はなく適量ならば食べ物の味の邪魔をすることがなく、プチプチとした食感を楽しむことができる。栄養価が高く、たんぱく質、ミネラル、ビタミン、オメガ3脂肪酸、必須アミノ酸、食物繊維、脂質などが含まれている。また、不溶性・水溶性の両方の食物繊維をバランスよく含んでいる。

手軽に摂取ができ、その他食品にも応用が容易であるチアシードを添加したパンの生地の開発を本研究の目的とした。それに加え、その生地を利用した調理パンの考案も行った。

1本論

2‐1検討を行った項目

  • 材料の配合率の検討
  • 水分量の違いによる食感の違いの確認
  • 調理パンに利用する材料などの検討
  • チアシードの有無による脂質、食物繊維量の違いの確認
  • 調理パンにしたときの官能評価

2-1-1材料の配合率の検討及び水分量の違いによる食感の違いの確認

 材料の配合率の検討として、使用する小麦粉の強力粉と薄力粉の割合、水分量、チアシードの量の3つを行った。

小麦粉については、配合率による食感の違いの確認とともに、使用する水分量も検討した。水分量は220ml、240ml、260mlの3つとした。

チアシードの量は、食べたときにチアシードの存在感を感じ風味の邪魔にならない量の検討を行った。

図6および図7に下の強力粉と薄力粉の配合率の違いによるパンの断面図を示した。

班員5人による官能評価を行い、見た目や味、弾力、口の中に残る風味などの項目で行った結果、強力粉と薄力粉の配合率が1:2のものが好ましいという結果になった。

チアシードについては1個当たりの量を7gにすることである程度の食感と風味で、本来のパンの味の邪魔をしないと判断した。

図8に水分量の違いによる官能評価の結果を示した。水分量が220mlだと生地が硬く、かなり重たい印象となった。水分量が240mlになると全体的に改善は見られた結果となったが少し生地が硬く口の中に残るという結果となった。260mlになると硬さも風味などの項目もクリアし総合評価も一番高くなったため使用する生地の配合率を図9のようにした。

2-2実験方法

2-2-1脂質の定量(クロロホルム・メタノール法)

目的

チアシード単体、チアシード入りパン、チアシードなしパンに含まれている脂質を

クロロホルム・メタノール法で定量する。

試薬

・クロロホルム 特級 和光純薬会社

・メタノール  特級 和光純薬会社

・クロロホルム:メタノール=2:1(以下CM混液とする)

・石油エーテル 特級 和光純薬会社

・無水硫酸ナトリウム 和光純薬会社

機器

・恒温乾燥機

・恒温水槽

・ロータリーエバポレーター

・アスピレーター・ナスフラスコ・共栓付フラスコ

・還流式冷却管・メスシリンダー・遠心管・ろ紙 №1

操作

<受器の空恒量の測定>

手袋を着用してナスフラスコを洗浄し、105℃で1時間加熱し、デシケーター中で30分間放冷した後、精秤した。その後、再び乾燥機にて同様に加熱をし、前回の測定値との差が1mg以下になるまで繰り返した。

<試料中の脂質の抽出>

ホモジナイズした試料約2gを共栓付フラスコに精秤した。そこにCM混液を50ml入れて還流式冷却管に接続し、65℃の湯浴中で1時間抽出した。その後、冷却し抽出液をろ過し、ろ液をナスフラスコに移しCM混液で洗いこんだ。

溶液を入れたナスフラスコをエバポレーターに接続し溶媒を加温しながら蒸留した。この操作を内容物から水分が出なくなるまで行った。

冷却後に石油エーテルを25ml加え内容物を溶解した。そこに無水硫酸ナトリウム5g加え、よく溶解したものを遠心管に移し、3,000rpmで5分間遠心分離した。

恒量を求めておいたナスフラスコに上清10ml分注した。ナスフラスコをエバポレーターに接続後、石油エーテルがなくなるまで蒸留した。蒸留後のナスフラスコを105℃で30分

間乾燥し、放冷後に秤量した。この操作を恒量に達するまで行った。

結果

 測定結果を表1に示した。

考察

 チアシード自体の脂質定量の結果は、文献値100gあたり10gと比べて11.77gとなり、1.77gの差となった。この値から、おおよそ誤差の範囲となり、定量は妥当と言える。生地の脂質量は、チアシードを含むパンの生地で100gあたり10.9729g、チアシードを含まないパンの生地で9.03846gとなった。文献値ではチアシードを含むパンの生地の方がチアシードを含まないパンと比べて100gあたり0.933g増えるという結果となるのだが、チアシードを含むパンの生地の結果が1.9344g増えた値となった。これは定量を行う際のホモジナイズでの工程が不十分であったり、チアシードに含まれている脂質の量の個体差などが考えられる。

2-2-2食物繊維の定量(ヘンネベルグ・ストーマン改良法)

目的

チアシード単体、チアシード入りパン、チアシードなしパンに含まれている食物繊維を

ヘンネベルグ・ストーマン改良法で定量する。

試薬

・硫酸             (1.25%溶液) 特級 和光純薬会社

・水酸化ナトリウム       (1.25%溶液) 特級 和光純薬会社

・エタノール                    和光純薬会社

器具・機器

・三角フラスコ(500ml容)・

・ろ過装置(吸引ろ過装置)

・ブフナー漏斗 9cm

・金たらい・コンロ

・駒込ピペット(5ml容)

・ろ紙(アドバンテックNo,6 90mm)

・電気乾燥機

・電気マッフル炉・デシケーター・精密天秤

・薬さじ・全域㏗試験紙・るつぼ ・るつぼばさみ

操作

<試料の調製>

脂質の定量で得られた脱脂済試料(3 実験内容 脂質の定量参照)約1.5gを精秤し、三角フラスコに入れて、沸騰させた1.25%硫酸溶液を200ml加えた。これに還流冷却管をつけて沸騰水浴中で加熱沸騰させ、その後、微沸騰が続くように火力を調節し、1時間加熱した。加熱終了後はただちに吸引ろ過し、熱水を加えて残渣物を洗浄、吸引ろ過した。洗浄は濾液が全域pH試験紙で酸性を示さなくなるまで繰り返した。

その後、沸騰させた1.25%水酸化ナトリウム溶液200mlでろ紙上の残渣物を洗いこみ、三角フラスコに入れて試料の全量を200mlとした。

再び還流冷却管をつけて硫酸処理をした場合と同様に、今度は30分間、微沸騰が続くように加熱した後、吸引ろ過をして濾液がアルカリ性を示さなくなるまで熱水洗浄した。(この吸引ろ過の際のろ紙はあらかじめ100℃、1時間で乾燥させ、恒量をとっておいたものを使用した)

ろ紙上の残渣物にアルコール15mlを3回に分けて加えて洗浄、吸引ろ過後、ろ紙を110℃の乾燥機で1時間乾燥させたあと、精秤した(W1)。

<るつぼの空恒量の測定>

 電気マッフル炉にるつぼを入れ、温度を徐々に上げ、550℃、1時間加熱した。そのまま放冷し、るつぼばさみを用いてデシケーター内に移して、さらに室温まで放冷した後、精密天秤で精秤した。再び、1時間加熱し、上記と同様に放冷、精秤を繰り返し、前回との差が0.3mgになったら恒量に達したとした。

<秤量>

 ろ紙を細切後、精秤したるつぼに入れ、直接ろ紙に火をつけて煙が出なくなるまで加熱した。加熱終了後、あらかじめ550℃に加熱しておいたマッフル炉で試料の入ったるつぼを1時間加熱した。加熱終了後、炉の中で放冷し、温度が適度に下がったらデシケーターに移して放冷した後に、精秤した。さらに1時間加熱し、恒量(前回との差が0.3mg)になるまで加熱、精秤を繰り返した(W2

結果

 測定結果を表2に示した。

<結果>

考察

チアシード自体の食物繊維定量の結果は、文献値100gあたり37gと比べて45.5298gとなり、6.5298gの差となった。生地の食物繊維量はチアシードを含むパンの生地で100gあたり9.6854g、チアシードを含まないパンの生地では6.2234gとなった。

文献値では、チアシードを含むパンの生地の方がチアシードを含まないパンの生地と比べて3.4532g増える値となるのだが、チアシードを含むパンの生地の方が3.462gという結果となったので、2種類のパンに関しては誤差の範囲と言える。チアシード自体の結果の差に関しては、操作の途中で不手際があったか、チアシード自体に含まれている食物繊維量に個体差があったのではないかと考えられる。本研究で用いた食物繊維定量法は簡易的な手法として知られており、数回測定を行い平均を取るべきだが、時間の都合上1回しか行うことができずに結果に差が出てしまったと考えられる。

3 試作品

試作品① エクレア

 生地がさっくりとしているので、始めはチアシードの存在を確認することができないが食べ進めるとプチプチとした触感を感じることができた。クリームの硬さが少し柔らかく仕上げていたので、今後は、生地の焼成時間を短くして食感をやわらかくし、クリームを硬めにするとチアシードの食感もさらに感じやすくなり食べやすくなると思われる。(図10参照)

試作品② 焼きカレーパン

 揚げるのではなく焼くことによりチアシードの食感をより感じやすくし、パンの柔らかさも感じられるようにした。しかし試作品はカレーの味が濃くなってしまったので少々重く感じるという意見が出た。カレーを調理するときに濃さの調節を行いあっさりと仕上げると食べやすくなると思われる。チーズをプラスすることによりマイルドになるように工夫を加えた。(図11参照)

試作品③ ブルーベリークリームチーズ

 何回か試作を行い、食べやすいようにスティック上に仕上げた。クリームチーズの濃厚さとブルーベリージャムの酸味がうまくマッチしていた。チアシードとの相性もよく食感も楽しめるようなパンとなった。(図12参照)

試作品④ 豆腐ハンバーガー

 豆腐を使用したハンバーグによりカロリーカットが望め、味はあっさりとしたものになった。ソースにはオーロラソースを使用し、物足りなさをカバーした。改善点として野菜を一緒にはさむことにより、食感のプラスとともにフレッシュ感が出ると考えられる。(図13参照)

試作品⑤ ピザパン

 生地は薄めに設定しチアシードの存在感と食感を感じやすくした。見た目が全体的に赤くなってしまっているので彩りを浴するためにピーマンなどを利用すると見た目もよくなると思われる。(図14参照)

試作品⑥ おいもクリームパン

 サツマイモに、生クリームと砂糖を使用しクリームペースト状にしたものをパンで包んだ。チアシードのプチプチとした食感と芋クリームの相性はとてもよかった。芋クリーム自体は甘さを控えめにして重くならないようにした。(図15参照)

2-2 総括

本研究により、食物繊維を付加したパン生地の開発をすることが出来た。具体的には、パン100gあたり約3.5gの食物繊維の増加を確認できた。これにより現在の日本人の食物繊維不足改善の一端を担うことができると思われる。さらに本研究で開発した生地を利用した調理パンを考案することが出来た。これによりチアシードの利用方法の拡大を図ることが出来たのではないかと考えた。今後の課題として、試作品のさらなる改良および魅力的な商品の考案をすることだと思われる。

2-2 参考文献

 1)辻 啓介ら:日本家政学会誌, 国民栄養調査、国民健康・栄養調査 45(12), 1079, 1994

 2)株式会社日本政策金融公庫「健康志向が調査開始以来最高、特に70歳代の上昇顕著国産「安全」イメージは原発事故前水準まで回復―日本公庫・平成24年度上半期消費者動向調査結果―」2016/2.29

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