平成22年度 醸造発酵コース卒業研究の紹介
三宅島旧焼酎蔵から分離・選抜した酵母の焼酎酵母としての適性調査
【目的】
本研究は三宅島酒造㈱との共同研究として、2009年度から開始した。即ち、三宅島の旧焼酎蔵から優良酵母を分離し、十数年の眠りから目覚めさせた酵母で独自の酒質の焼酎を開発することを目的とした。今年度は、昨年度に分離、選抜された酵母3株についての醸造適性を調べ、優良酵母の更なる絞り込みを行うとともに、協会焼酎酵母との性質の違いの有無を明らかにすることを目指した。
【経過ならびに結果】
分離、選抜された酵母3株と比較対照の協会焼酎酵母3号を用いて昨年度仕込み条件下での試験醸造を実施した。その結果、いずれの酵母においても同様の発酵経過を示し、試醸品の分析値も同様であり、昨年度の結果の再現性が認められた。更に、三宅島酒造㈱の仕込み配合での試験醸造を実施した。発酵経過と分析値は旧仕込配合の場合と大きな差は見られなかった。この新配合での試醸品4品を使用して、冷却ろ過後25%アルコール濃度にし、珪藻土ろ過したものを官能評価に供した。4試料間では統計上、香味の有意差は認められなかったが、選抜No.6株試醸品が協会焼酎酵母3号試醸品と同等の香味評価を得た。
また、選抜酵母3株と協会焼酎酵母2号、3号との性質を比較するために7種の培地を使用して酵母の分類試験を行った。その結果、選抜酵母3株はいずれも協会焼酎酵母3号と同様の挙動を示し、3号酵母に近い生理学的性質を有している事が明らかとなった。
今後の計画としては、No.6株を使用して、三宅島酒造㈱において試験醸造を行う予定である
醸造副産物の新規有効利用法の開発
【目的】
ワイン、ビール、日本酒などを製造する際にワイン粕、ビール粕、酒粕などの醸造副産物が醸造工場で大量発生するが、その利用法としては堆肥や、飼料等がほとんどであり、また一部は廃棄処分されている。本研究では、これら醸造副産物の新規有効利用を目的として、糠床と、キノコ培養培地としての利用法を検討した。
【経過並びに結果】
1.糠床への利用 予備試験を行い、糠床への配合副産物としてビール粕と酒粕を選択した。糠床の微生物源としては、野菜屑、市販漬物付着の糠、及び培養菌体(乳酸菌、酵母)の3通りとし、副産物無添加と添加の糠床をそれぞれ調製し、キュウリを漬けた。いずれの微生物源を使用しても、ビール粕や酒粕添加による、微生物増殖効果は認められなかった。また、漬物の官能評価においても無添加のコントロール群に対して、副産物添加群での優位性は認められなかった。
2.キノコ培養培地としての利用 キノコとしてヒラタケを対象として、おが屑・米糠培地(基礎培地)への3種副産物の添加効果を調べた。その結果、ビール粕添加培地のみに子実体が形成された。更に、ビール粕の配合比率が高いほど、菌糸形成、子実体形成が活性化することも認められた。現在、ビール粕中の有効成分について検討中である。