癌性疼痛の未知なる原因の究明を目指したヒト手術検体の組織学的解析

研究先 慶應義塾大学医学部生理学教室

背景

腹膜播種などに伴う癌性疼痛治療のために、様々な強度の鎮痛薬が用いられる。例えば非ステロイド性抗炎症薬 (NSAIDs)や、モルヒネを含む様々なオピオイド鎮痛薬などが痛みの強度によって使い分けられている。しかし癌疼痛の中でも神経障害性疼痛においては、最も痛みの緩和性がある強オピオイド鎮痛薬を用いても痛みの緩和が得られないケースがあり、疼痛の原因が十分にはわかっていない。

目的

癌性疼痛の発生メカニズムを明らかにするために、ヒト手術検体の腫瘍とその周辺組織を詳細に解析し、マウスの先行研究によって示唆された癌と神経組織変化と疼痛の関係をヒトで明らかにする。

方法

腫瘍摘出手術に際して摘出されたヒト組織から凍結切片を作成し、一般組織染色・免疫染色・免疫電子顕微鏡解析を実施し詳細な組織学的な解析を実施した。また担癌患者の訴える疼痛閾値と、癌疼痛のために処方された鎮痛薬などの情報を収集し、組織学的変化と疼痛の関係を比較した。

結果

これまでに入手できたヒト腫瘍摘出手術検体 9症例 35ブロックの組織解析を実施した。一部の症例では正常な神経組織が観察されたが、ある症例では明らかに異常な病的変化を示す末梢神経組織が免疫電子顕微鏡解析にて観察された。癌性疼痛の程度については、病棟のカルテ情報および医師への面談によって情報を収集し、様々な程度の疼痛を訴えていることが明らかとなった。

結論

本研究により、癌性疼痛の発生機序の一部には、少なくとも一定以上の割合で腫瘍形成・腫瘍浸潤に伴う末梢神経の組織学的な異常が関与している可能性が示唆された。

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