免疫細胞の受容体シグナル伝達とアセチル化について

研究先 東邦大学医学部免疫学講座

目的

本研究の目的はタンパク質の分子修飾に着目して、細胞外刺激の新しい伝達様式を見いだしその生物学的意義を明らかにすることである。ホルモン、増殖因子およびサイトカインなどの細胞外刺激を受容した細胞は核での遺伝子発現調節や細胞内小器官制御といった応答を示す。細胞は刺激を主にタンパク質のリン酸化修飾という手段を用いて核や小器官へ伝達する。リン酸化は、受容体やリン酸化酵素のチロシン残基やセリン残基またはスレオニン残基にリン酸基が付加されるもので、シグナル伝達分子の複合体形成を通じてタンパク質のスイッチとして作用する。スイッチオンとしての複合体形成はシグナルを核や小器官へ伝えるために重要な細胞内イベントである。近年、脂質修飾によるタンパク質の細胞内局在調節や、限定消化による酵素活性の調節といったリン酸化以外の分子メカニズムがタンパク質機能を制御していることが判ってきた。これらのタンパク質修飾はリン酸化解析の歴史的背景に比べると詳しく理解されている部分が少ない。そこでタンパク質のアセチル化に着目して解析を開始した。

方法

一般にアセチル化は核内のヒストンに付加される。ヒストンのアセチル化は核に局在する CREB binding protein (CBP)や p300というアセチル化酵素により触媒される。この研究では細胞質でのアセチル化解析を目的にしているので、細胞質局在性CBPを遺伝子工学的手法により作製する。私が所属する研究室では、免疫系細胞特に T細胞で生理的な細胞質 CBPが必須の役割を担うことを明らかにしている。この組換え CBPを T細胞の細胞質に強制発現させ、細胞固有のシグナル伝達タンパク質のアセチル化を顕在化した条件下で解析を試みる。

結果

今回の検討でアセチル化により T細胞のシグナル伝達が上方あるいは下方制御されることが見出されるはずである。正負に調和したアセチル化とリン酸化を通じて、 T細胞調節機構とそれに続く免疫調節を明らかにすることにつながる。これにより感染制御、移植免疫および自己免疫疾患等でこれまで踏み込むことのできなかった免疫調節技術の礎が確立できると考えている。

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