骨格筋のミトコンドリア機能障害は運動機能障害を引き起こす

研究先 千葉大学大学院医学研究院先進加齢医学講座

目的

活性酸素によるミトコンドリア酸化ダメージの蓄積は、ミトコンドリア機能を低下させ加齢に関連した病的状態のトリガーとなりうると考えられている。本研究では、ミトコンドリア内に存在する抗酸化酵素 SOD2を骨格筋特異的に欠損させ、運動機能を調べた。骨格筋のミトコンドリア機能障害が、どのように運動機能に影響を与えるのか明らかにすることを目的とした。

方法

Human skeletal actin プロモーター Creリコンビナーゼ発現マウスと Sod2 flox マウスを交配させ、Sod2遺伝子を骨格筋特異的に欠損させた。6ヶ月齢時に、運動能力を自発的行動試験と強制走行試験で測定した。骨格筋は、大腿四頭筋、腓腹筋、及びヒラメ筋をそれぞれ摘出し、重量を測定した。また、酸化ダメージ、筋組織ダメージ、及びミトコンドリア機能指数をそれぞれ測定した。組織染色によりミトコンドリア呼吸鎖複合体活性、筋再生像をそれぞれ調べた。さらに、3ヶ月齢から 8週間、高脂肪食を負荷し、強制走行試験、及び体重増加率の測定を行った。

結果

欠損マウスは正常に発育し、骨格筋組織での萎縮は認められなかった。欠損マウスの筋組織では、酸化ダメージ指標 8-OHdGが 1.8倍、筋組織ダメージ指標 CPKが 35倍にそれぞれ上昇した。また、速筋型タイプの筋繊維に筋再生像に特徴的な中心核の散在が認められ、筋傷害を呈していた。また、ミトコンドリア呼吸鎖複合体 Complex Ⅰ及びⅡの活性が著しく減少し、ミトコンドリア機能指数 ATP量も 13.2%に減少していた。トレッドミルを用いた強制走行試験では、野生型マウスは 120分走り切ったのに対し、欠損マウスは平均して約 3.6分間しか走れず、顕著な運動能力低下が認められた。一方、飼育ケージ内の自発行動量は同等であった。また欠損マウスに高脂肪食を負荷したところ、強制走行時間は改善しなかった。興味深いことに、体重増加が緩和されていた。これらの結果から、骨格筋ミトコンドリアでの酸化ストレス傷害は筋萎縮を示さないが、ATP枯渇による運動機能低下をもたらすことが明らかとなった。

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