植物病害防除技術開発に向けた有用遺伝子の選抜

研究先 国立研究開発法人 理化学研究所 環境資源科学研究センター 植物免疫研究グループ

目的

現在、世界では約8 億人分の食料に相当する作物が病害によって失われている。我が国も例外ではなく、さらに耕作面積の乏しい現状からして植物病原菌への抵抗性メカニズムを特定し、病害によって失われるはずであった作物を利用することが得策であろう。そこで本研究では、植物に感染し作物生産に多大な被害をもたらす様々な病原菌を用いて宿主側に存在する各病原菌における感染標的遺伝子(罹病性遺伝子)の同定を目指す。

方法

罹病性遺伝子は感染するために必要な宿主側の遺伝子であるため、欠損させた植物体には病原菌は感染できないと考えられる。罹病性遺伝子の機能は大きく分けて3 つ考えられる(1. 宿主侵入前、および侵入時における必須因子、2. 宿主侵入後における必須因子、3. 植物免疫側の負の制御因子)。恒常的な免疫機構の活性化は同時に生育阻害を引き起こすことから、3.の機能を持つ遺伝子は作物への応用を目指す上では好ましくない。そこで、モデル植物であるシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)より植物免疫において重要な植物ホルモンの合成やシグナル伝達に係わる4 つの遺伝子を欠損させた免疫不全シロイヌナズナ変異体を用いる。免疫不全変異体は異なる感染機構をもつ活物的寄生菌、半活物的寄生菌、殺生菌のいずれに対しても激しい病徴を示す一方、病原菌の存在しない環境下では野生型と同様の生育を示す。免疫不全変異体をエチルメタンスルホン酸(EMS)処理することにより得られたEMS 変異体を用いて病原菌を接種し、抵抗性を示す個体(罹病性遺伝子候補)を選抜する。

結果

現在、半活物的寄生菌である炭疽病菌を用いて約12,000 個体の変異体において一次スクリーニングを行い、その表現型を確認(二次スクリーニング)している。そのうち、Ch_1-1,7-2,19-1 は強い抵抗性を示しており、有用遺伝子(罹病遺伝子)の同定が期待できる。今後、スクリーニングで得られた個体を戻し交配し、ゲノムシーケンスにより原因遺伝子を同定し、その機能解析を行っていく。

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